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お菓子作り事典

お菓子の基礎知識

 

1.卵について

 レシピに必要な卵の分量がグラムではなく個数で書いてある場合は、SSサイズやLサイズ以上のものは避けた方が良いでしょう。
 小さいサイズの方が、卵黄の割合が高い傾向にあります。卵黄の占める比率が最も高いのがMサイズの卵。卵黄のみを使うお菓子やクレーム・パティシェールを作る際はSS〜Mサイズを使用するのが、卵白のみを使うレシピを作るには大きいサイズの卵を用意するのが合理的といえます。
 作りたいお菓子によって異なるサイズの卵をわざわざ購入することは必ずしも必要ではないですが、買う場合は上記のサイズとグラムを参考にしてください。
 卵白だけが余った場合、密閉容器に入れて冷凍保存しておくことができます。卵白のみを使うお菓子(マカロン、フィナンシェ、エンゼルケーキやラング・ド・シャなど)を作れば、余った卵白も上手に活用できます。
 「産みたての卵よりも、少し時間をおいた卵の方が泡立ちがよい」と言われることがありますが、これは、時間が立てば立つほど卵の粘度の元であるたんぱく質のコシが弱くなるために表面張力も弱まり、泡立ちやすくなるためです。
 しかし、表面張力の弱くなった卵は、泡立ちは早くても気泡の安定性に欠けます。きめ細やかで気泡が長もちするメレンゲを作るには、泡立ての時間が多少かかっても、やはり新鮮な卵を使った方がよいと言えます。

卵のサイズ…
SS:40〜46g未満 S:46〜52g未満 MS:52〜58g未満
M:58〜64g未満 L:64〜70g未満 LL:70〜76g未満

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2.スポンジについて

 スポンジを焼く際、卵黄と卵白を共に泡立てるか別々に泡立てるかにより、焼き上がったスポンジの呼び名が変わります。 別々に泡立てて作るスポンジは「ビスキュイ」、合わせて泡立てて作るものは「ゼノワーズ(ジェノワーズ)」と呼ばれます。

★別立て コシの強い、しっかりとした泡立ちで、絞り出しに向いています。
★共立て きめ細やかで、やわらかいクリーム状に仕上がります。しっとりと仕上げたい時、ロールケーキの生地を焼く時などに適しています。

 共立ての場合、卵黄の油脂により卵白の泡立ちが制限されます。 少しでも泡立ちをよくするためには、卵をほぐして全量の砂糖を加えてから湯せん(※)にかけて人肌程度に温めて泡立てるとよいです。 温め過ぎると卵が固まってしまうので、全体が35〜40度に温まったらすぐに湯せんから降ろしてしっかりと泡立ててゆきましょう。

 卵白はそのままでも泡立てられますが、砂糖を加えながら泡立てるときめ細やかな上質なメレンゲを作ることができます。 まず、卵白のみを泡立て始め、しっかりと泡立った段階で一部の砂糖を入れ、さらに泡立てながら残りの砂糖を少しずつ加えてゆくと、効率良く上質なメレンゲを作ることができます。
 卵白を泡立てる際にハンドミキサーを使用する場合は、くれぐれも泡立て過ぎに気をつけなければなりません。撹拌力が強いため、タイミングを逃すとすぐに泡立て過剰になりかねないからです。これを防ぐため、慣れないうちは最初の段階から卵白に砂糖を加えておいたり、ハンドミキサーの撹拌速度を遅めに設定したりする方が無難でしょう。

※湯せん:大きめの鍋に湯を沸かした中で別の容器に入れた液体を加熱する方法。温度調節がしやすい。

 ケーキの生地がふくらむのは、メレンゲに含まれる気泡が熱で膨張するからですが、冷菓を作る際に使うメレンゲは混ぜた後に火を通すことがないので、できあがってから気泡がつぶれたり、卵白が腐ったりしまうことがあります。
 気泡をしっかりさせたい時、日持ちを長くさせたい時は、卵白を泡立てる段階で湯せんや熱いシロップを使って卵白に火を通す方法が用いられます。その代表的なものがイタリアンメレンゲ(※)です。

※イタリアンメレンゲ:110〜120度に熱したシロップを入れて泡立てるメレンゲのこと。 ツヤがよく、安定性も優れているため、デコレーション用としてもよく利用される。手で泡立てる場合は、卵白がしっかりと泡立てられたら熱いシロップを少しずつ加え、粗熱がとれるまでよく泡立てる。ハンドミキサーを使用するなら、卵白が軽くほぐれた時点で、熱いシロップを入れ、泡立てる。

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3.砂糖について

 上白糖、グラニュー糖、三温糖、粉糖やブラウンシュガーなど、様々な種類があります。上白糖は、こくのある甘みが、グラニュー糖は比較的淡白な甘みがそれぞれ特徴的。上白糖は加熱した時に焦げやすい性質を持つので、お菓子に焼き色がつきやすいです。  砂糖は食品を腐りにくくします。また、菓子の生地をしっとりと保つ、ゼリー等の離水を防ぐなどの効果をもたらすので、手作りだからといって分量を極端に減らすのは避けた方がよいでしょう。
 メレンゲを作る際は、卵白をある程度泡立ててから一部の砂糖を入れ、さらに泡立ててながら残りの分量の砂糖を少しずつ加えてゆきます(「卵について」の項目を参照)。これは砂糖の分子が吸水性に優れ、気泡の安定性を高める効果をもつと同時に、卵白が膜状に固まるのを抑える作用をもつので、最初から卵白と砂糖を合わせて泡立てると気泡の膜ができづらくなる(=泡立ちにくくなる)ためです。

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4.バター、油脂について

バター

牛乳の中の乳脂肪を集めて固めたもの。日本国内で大量生産されているのは有塩バターですが、お菓子作りには無塩バターを使いましょう(※)。

ショートニング

ラードの代用品として作られた、植物油脂が原料の人口油脂。クッキーの材料として使うと、サクサクほろほろの食感に焼き上がります。

マーガリン

バターの代用品として発明された、植物油を加工して固体化させた人口油脂。「ケーキ用」「シュー用」「パイ用」など専用マーガリンが多く販売されており、バターに比べると、取り扱いが便利ですが、風味が少々劣ります。

ケンネ脂

牛の腎臓の周りの脂。ミンスミートパイやイギリスのクリスマスプディングに使われます。

ラード

豚の背脂。純正ラード(純度100%の豚脂)調整ラード(豚脂をメインに牛脂などを加えたもの)に分かれます。調整ラードは中国のお菓子(パイなど)に使われます。室温での取り扱いがラクです。

  • 溶かしバターとは、電子レンジにかけて液状にしたバターのことです。
  • 「室温に戻しておく」「常温におく」場合の「室温」「常温」とは、23〜25度を指します。指で押すとぐにゃっとつぶれる程度のことです。

(※)無塩バターを使用する理由
通常のバターには1〜2%の塩分が添加されており、バターを大量に使用するお菓子に入れると味が変わってしまうためです。 製菓の際は無塩バターを使用しましょう。

ワンポイント:有塩バターを無塩にする方法があります。

1.使う量のバターを細長い耐熱ガラスコップに入れ、1分間電子レンジにかける。
2.電子レンジから出して1分間、おいておく。
3.上の黄色い部分が「無塩バター」部分、下の白い部分が塩です。

保存方法
冷蔵庫で保管しましょう。
基本的に5度以下の低温で貯蔵しますが、長期に渡って保存する場合は、冷凍にしても問題ありません。

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5.生クリームとホイップクリームの違い

クリーム(生クリーム)

日本では、乳脂肪が18%以上で添加物不使用のクリームを指します。「生クリーム」は俗称です。

ホイップクリーム(植物性合成クリーム)

植物性脂肪分を使用したもので、パッケージには「乳等を主要原料とする食品(乳主原)」と表示されています。
  「乳主原」には3種類ある。生クリームに添加物を加えたもの、乳脂肪と植物性油脂を合わせたもの(コンパウンドクリーム)、植物性油脂のみのもの(植物性《合成》クリーム)で、現在、生産量が最も多いのは「コンパウンドクリーム」です。
 生クリームは、泡立ちは速いが、それだけに泡立て過ぎに注意が必要です。ホイップクリームは生クリームに比べてだれにくく、泡立て過ぎても分離しにくいうえ、酸に強いです。添加物を含んでいるので、品質が劣化しにくいという利点もあります。風味は生クリームに劣りますが、菓子によっては「乳主原」を使用した方が仕上がりがよくなることもあるので、目的や菓子の性質によって使い分けましょう。

クリームの立て方の種類は以下の通り。

六分立て すくって落とすと、跡が消える状態。
七分立て 泡立て器で線が書ける程度の固さ。
八分立て 角の先端が曲がる状態。
九分立て ピンと角が立つ状態。

泡立てる際の留意点

 ボウルに水分や油分がついていると泡立ちが悪くなるので、クリームを入れる前にふきんでよくふいておきましょう。氷水を入れたボウルを当て、温度を10度以下に保って泡立てると、きめ細やかに仕上がる。15度以上になると気泡が大きくなり、ざらついたクリームになってしまいます。
  ハンドミキサーを使用すると非常に便利ですが、製菓に慣れないうちは手立てで感触をつかむのも良いでしょう。泡立て過ぎていったん分離してしまうと元の状態には戻らないので、ハンドミキサーを使う場合は、ある程度泡立ってきたら手立ての泡立て器に持ち替えるのも良い手です。

保存方法

密閉して冷蔵庫に。できるだけ早く使い切りましょう。

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6.小麦粉について

 小麦粉は、中に含まれるたんぱく質の量によって数種類に分けられます。小麦粉の中のたんぱく質は、水と合わせて練ると結合して「グルテン」という粘弾性をもつ物質に変わります。  お菓子作りに使うのは主に薄力粉と強力粉です。強力粉は、たんぱく質を多く含み、粘弾性が高いのでケーキ等に使用するには不向きですが、「打ち粉」には強力粉が適しています。強力粉は薄力粉と比べて粒子が粗くサラサラとしているので、台の上に均一に広がるうえ、生地に付いた粉もはたき落としやすいからです。

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7.ゼラチンについて

 ゼラチンは、動物の皮、骨、軟骨の中に含まれるたんぱく質を精製したもので、冷やすと凝固します。ゼリー、ムース、ババロアなどを作る際に使いますが、パイナップルやキウイなど、たんぱく質分解酵素を含む果実はゼラチンを溶かしてしまうため、生のままでは一緒に使うことはできません。使う場合は、加熱して分解酵素を働きを止める必要があります。
 また、たんぱく質分解酵素だけでなく、酸や熱によっても性質が変化してしまいます。例えば、レモンやライムなどの酸味の強い果物とゼラチンを合わせて強く加熱すると、冷やしても固まらなくなるなどの現象がおきるので、混ぜ合わせる温度やタイミングに気をつけましょう。

ゼラチンの戻し方 粉ゼラチンよりも板ゼラチンの方が水を切りやすく、溶けやすいです。
ゼラチンは温水だと溶け出すのでたっぷりの冷水に20分程つけて戻し、芯まで柔らかくします。水分が多いとムースなどの固まり方が弱くなるので、水からあげたらしっかりと水気を切りましょう。粉ゼラチンは、使用量の5倍の水でもどします。
※寒天について
 寒天は、テングサなどの海藻を原料にして作られるゲル化剤で、ゼラチンと同じように水には溶けにくいですが、熱水には溶けやすい性質をもちます。ただ、ゼラチンとは異なり常温で固まります。比較的水分が分離しやすいので、寒天を使ってお菓子を作る場合は砂糖を多く加えて保水性を高めるのもよいでしょう。

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8.ナパージュについて

フルーツののったケーキなどで、フルーツの表面のツヤのあるものには、「ナパージュ」というものが塗られています、 お菓子の色艶を出すことの他、水分のあるフルーツや生地の乾燥を防ぐ目的でも使う、専用の材料です。 製菓材料店で「ナパージュ」という名前で取り扱われています。 ナパージュがない場合は、裏ごしたアプリコットジャムを水か酒でのばしたものでも代用可能です。 ただし、ツヤや固まり具合、扱いやすさでは、ナパージュより劣ります。 それほど高いものではないので、そろえておくと便利です。

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9.温める、焼くのに使用する道具について

オーブン、オーブントースター、電子レンジ、ガスレンジがあります。

オーブン:お菓子づくりで最もよく使用します。 焼く前に指定の温度まで温めておく必要があります。時間がかかりますので、余裕をもって温めに入りましょう。 ガス式と電気式があります(業務用はガス式が多いです)。火力はガス式のほうが強く、同じ温度に設定しても、10度ほどの違いが出ることもあります。また、オーブンの大きさ、上段下段、使う型の大きさなどによっても、焼き上がりに差が出ます。 かならず焼け加減を目で見ながら使うようにしましょう。 さまざまなお菓子づくりに何度もトライして、そのオーブンのクセをつかむと、扱いやすくなります。

トースター 一気に焼いて表面に焼き色をつけます。メーカーによって違いはありますが、焼く温度の設定はできません。 基本的には、トースターをオーブンの代用に使用することはできません。
電子レンジ 「焼く」道具ではありませんので、焼くお菓子には使いません。焼き色もつきません。
オーブンやトースターの代用として使用することはできませんが、電子レンジで作れるお菓子もあります。
そのほかにも、溶かしバターをつくる時などに重宝します。下ごしらえにうまく活用してみてください。
ガスレンジ 材料を温めるのに使います。
水やクリームなどを火にかけた際に、ふつふつと小さな気泡が現れ始めるころが「沸騰寸前」の状態です。
その気泡が鍋のふちを巻いて、だんだんと大きな泡が全体に出てくる頃が、「沸騰した」状態です。

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